豊胸術 5
● 異物注入法の欠点
歴史的に眺めてみれば昭和30年頃に、オルガノーゲンやシリコンといった物質がバストに盛んに注入されたことがありましたが、バストアップらの結果は悲惨で、バストアップらの物質が安全でないことは証明されています。そして最近にはバストアップ以外の物質、例えばハイドロジェルの注入などが国によっては行われていることもあるように聞き及びますが、バストアップらの物質の注入が安全だと言う証明は今のところありません。
● 脂肪注入によるバスト豊胸術の欠点
そこでおそらく誰でも気がつくのがこの脂肪の注入法なのではないでしょうか。お腹やお尻にいかにも余っている脂肪を吸引し、それをバストに注入すればよいという考え方です。しかしながらここには重大な欠点があります。確かに注入された脂肪は自己の組織で他の異物注入法とは異なった良さはあるのですが、注入された脂肪は吸収されやすく効果が少なく、そして、大量に注入すると嚢腫や感染の危険性もあります。また、注入された脂肪の周囲には石灰沈着という状況がみられることが普通です。この石灰化もしくは石灰の沈着といった状況は脂肪注入によってもたらされた石灰化と、乳ガンによる石灰化をレントゲン線上で見分ける方法は現在のところありません。従って将来的に乳ガン検診の折りにこの石灰化が見付かり、バストアップを切り取って病理的に調べると言うことが繰り返し行われる可能性があります。そしていずれとも分からない部位から本当のガンが発生し、手遅れになれば命に関わる問題となるでしょう。したがって現在まで注入法で安全にバストを豊胸させる手法は開発されていません。
日本美容外科学会(JSAPS) http://www.jsaps.com/index.html 様より引用